「恋愛不具者−羞恥とプライドが鬩ぎ合う時−」椎名時生の治療

コリオグラファー(振り付け師」のKAYAと休憩中に雑談していた時の事だ。オカマのKAYAは時生をかわいがってくれていて、なにくれとなく面倒を見てくれている。

下心ではなく先輩としてとか、姉としての気持ちで、KAYAは知っておくべき情報を時生に教えてくれるのだ。ダンスと同様に。

KAYAは二丁目の人間にありがちな聖子ちゃんファンで、時生が聞いていようがいまいがよくしゃべる。母親が「スイートメモリーズ」で結婚式の入場をしたという知識しかない時生には正直口を挟む余地すらない。「そういえば、聖子ちゃんって、カンダマサキの他に審美歯科の先生と結婚してた時期もあるのよー。信じられる?ああいうスターさんって自分がキレイになっていく姿を隠すもんでしょ?それを口のなかおっぴろげて治療させた男と結婚よ?アタシだったらちょん切ってくれた先生と結婚ってことよ。それってどうなのよ。ちょっとアンタ、聞いてんの?ブス」へえ。そうなんだ。じゃあ、俺と勝山先生の場合はどうなるんだろう。

時生はいわゆるヘテロセクシャルで、普通に女性が好きだ。だけど月に60万出してくれる勝山先生の愛人をやっている。勝山先生は紳士だ。いろいろ連れて行ってくれて、自分は下戸なのに、普段飲めないような酒の味を教えてくれる。

シガーもバカラも教えてもらった。人間に幅が出るという理由からだ。人間に幅が出ると、役に幅が出る。らしい。その所為かどうかは知らないが、金銭的に余裕ができ始めると、オーディションで緊張しなくなり、少しずつ役をもらえるようになってきた。紳士の筈の先生は、ことセックスとなると尋常ではない。知らない女を連れてきて椅子に縛って時生との性交を見せる。先生に後ろから腕をつかまれたまま、他の男に犯られたこともある。抵抗しなくなった時生の乳首をいじり回し、道具も使われた。ものすごく大きな声で喘いでしまい、あとでシャワールームから当分出られないぐらい恥ずかしかった。完全に女のような体にされてしまいつつある。男が帰ったので時生がシャワールームから出たあと、たっぷり髪や指を愛撫されたあと再び勝山先生に抱かれた。嗚咽するほど気持ちよかった。まあ、勝山先生ならいいか、というのが時生の鷹揚なところで、周囲の人間に愛されるゆえんでもある。勝山先生の歯科矯正の施術が終わった頃、時生に大きな役が入ってきた。